2009-08-26

料理担当 ベッティさん

前回のブログ、青少年交流の続き。

1週間共同生活を行う間、料理を担当してくれるのがベッティさん。みんなの人気者だ。

ベッティさんはゲイである。フィリピン社会の中でゲイの人たちは堂々と誇りをもって生きていて、まわりの人たちも普通にそれを受け入れている。現地駐在員の話だと、美容室や学校行事のダンスの振り付け、衣装担当など、彼らの能力が生かされる場所が社会的にも日常の中にあるということだ。ベッティさんも美容の仕事などもあるけど、料理が一番好きということだ。料理担当の仕事もしっかりとこなしてくれる。料理担当は、みんなより朝早く起きて準備し、夜は片付けや仕込みもあって、裏方だけど大変な仕事。料理を愛し、いつも子どもたちがちゃんとご飯を食べるかどうかを気にしてみてくれている。

今回で料理担当をお願いするのは2年目だが、「今年もこの仕事をするのをとても楽しみにしていたの!本当に感謝してるわ。子どもたちと一緒に生活して一週間すごすのが楽しいの。」と話してくれた。(余談だが、ベッティさんは日本のアニメ『NARUTO-ナルト』が大好きだそう。毎日欠かさず見ているので、共同生活で『ナルト』を見れないことだけが心残りだとか…。)

ベッティさんの作る料理はどれもおいしい。日本食とは油や調味料が違い、フィリピン料理をあまり受け付けない子たちもいるかもしれないが、ベッティさんの料理であれば、たいていのものは食べてくれる。去年、自分が出した料理が口にあうか心配で、柱の影から様子を伺い、残さず子どもたちが食べたのを見て「あぁ、神様ありがとう…。」とつぶやいていたのをスタッフが目撃したらしい。そうやっていつも、周りのことを気にしてくれていて、挨拶はいつも笑顔のベッティさん。キッチンに行って、ベッティさんと会うと、なんだか心が穏やかになる。そして、ベッティさんのチャーミングさは料理にも表されていて、見て楽しめるし、ココロが微笑むような演出をしてくれる。

さらに、ベッティさんの極めつけは、最後の日に行われるフェアウェルパーティーだ。豪華な料理はもちろん、お花を生けてくれたり、ホテル顔負けのテーブルデコレーションをほどこしてくれる。今年は仮装パーティーを行ったが、ベッティさんも、あまった真っ赤なテーブルクロスに身を包み、参加してくれた。その場が大いに盛り上がったのは言うまでもない。

ベッティさんの夢は自分のお店を持つことである、と聞いたことがある。いつか、そのお店を訪ねることができたらいいなー、と思っている。

投稿:よしざわ

2009-08-17

バナナ生産者の子どもたちが通う学校を訪問

7月末に、日本の高校生とネグロスの青年たちが交流するツアーにアテンドしてきた。(詳しくはHPに詳細を報告します。)

その際、バランゴンバナナ生産者協会(BGA)の中のひとつの村、ユボ村のハイスクールを訪れ、授業を見せてもらうことができた。日本では、突然学校に行くなんて、門に監視カメラがあるくらいだから、とうてい難しいことだと思うのだが、普通に先生のところに行って、事情を説明したら快く見学させてもらえた。

教室に入ってまず驚いたのが、学生たちの集中力。みんな先生の言葉を逃さないぞというくらい聞き入っている。とにかく生徒の興味をひきつけるような魅力的な話し方をするおもしろい先生だった、というのもあると思うが、子どもたちの学びたいという気持ちが態度に表れているようだっ 訪れた授業は「道徳」。今フィリピンでは、せっかく学校を卒業してもまだ若い年齢で妊娠してしまったりするケースが増えていて問題になっているという。ものごとには適正な年齢があり、それを逸してしまうと人生の目的が達成しづらくなる、とか、精神的に問題がある場合や自殺したくなったときどう対処したらいいか、人の死をどう受け止めたらいいか、など、問題が起こっても必ず解決策はあるのだから、その問題から逃げずに直視しろ。という教えがされていた。

「例えば、今晩今日来てくれた日本の高校生たちと交流会があったとしたら参加したい?」と先生が聞くと、半分くらいの子が手を上げた。なぜ残りの子は手をあげなかったのか?自分が貧しいから?かわいくないから?色々理由があるかもしれないけど、自分が勝手に作っている壁のせいで、せっかく日本の高校生と友だちになれたり、見聞が広がるかもしれないのに、そのチャンスを逃してしまうのか?自分が心に持っている壁を破ってみるのも必要だよ。と、生徒ひとりひとりが自信を持って生きれるように、先生が言葉を投げかけていた。

横で授業を見学していた日本の高校生が「何か質問はありますか?」と聞かれ、一人の子が発言した。「私はあまり学校に行くのが好きじゃない。皆さんはどうですか?」先生が返答として「ここは、学校に行きたくても行けない子がたくさんいる。遠い子は7km先の家から毎日山を下って歩いてくる。」ということだった。どうりで、みんな目を輝かして勉強をしているはずだ。学校に通えることが夢をかなえる一歩なのだろう。一方、発言した子以外にも、日本の高校生で学校が好きという子はいなった。なんで嫌いなのか?と訪ねられると、「先生は黒板に書いてばっかりで話をしない」「受験勉強のための勉強」だからという。ある子は「先生が殴る、蹴る」と発言して、フィリピンの先生も驚き。「今日見学したような授業は受けたことない。こういう授業だったら学校も楽しくなるのに。」日本の高校生の感想である。

まだまだユボ村の学校は施設や整備が足りなくて、学校に行けない子もたくさんいるという。また、教室の中には、APLAの奨学金を貰って学校に通っているという子もたくさんいた。

学校が楽しい、学べることがうれしい、と目を輝かしているフィリピンの学生たちを見ていると、フィリピンの将来は大丈夫だ、と希望が持てるような気がした。しかし、一方日本は…?と考えると、日本の教育や学校のあり方を考えざるを得なくなる訪問だった。